ACアダプターとは?

ACアダプターとは?というテーマで、基本的な解説である、ピンの種類・形状から筐体の形、現在までのACアダプターの歴史や、利点についてなどを、わかりやすく全般的に解説しています。

そもそもACアダプターって何ですか?

ACアダプターとは、外部電源の一種のことであり、一般的に黒い筐体に収められているAC/DCスイッチング電源のことです。AC/DCは、交流(Alternating Current)から直流(Direct Current)へ変換するという意味を持っています。一般ユーザーの間では、バッテリーなどに電気を充電する目的で使用するACアダプターのことを、「AC電源」「アダプタ」「充電器」または「バッテリー充電器」と呼ぶこともあります。

日本でよく利用されているACアダプターのタイプ

日本や米国で利用されているACピンの種類・形状のAタイプのACアダプター

より詳細にはACアダプターは、電源が必要とされる電気製品(デバイス)に用いられる電子機器のことで、必要とされる電力を主電源から引き出すようなものではなく、発電所等から供給される商用電源を、交流から直流に変えたり、電圧を変換したりする電子機器です。日本の場合、商用電源の電圧は100Vで、周波数は50Hz(ヘルツ)から60Hz(ヘルツ)です。

ACアダプターの内部回路の設計は、内蔵電源、又は内部電源の回路設計と非常によく似ています。

ユニファイブのACアダプター標準製品のラインナップをご覧になりたい方はこちら

ACアダプターを必要とする電気製品(デバイス)は?

ACアダプターを必要とする機器は大きく分けると以下

で、ACコンセントにACアダプターを差し込み、電源を接続することで電気製品(デバイス)への電力供給や、バッテリーの充電が可能となります。

下記の【ACアダプターを使用する場合の利点まとめ】で後述いたしますが、ACアダプターを使用することにより、電気製品の機器本体に、内部電源を搭載する必要がなくなるので、主電源又はバッテリーのいずれかで給電される機器本体の持ち運びが可能になります。

また、100VACまたは240VACの主電源や、車及び航空機等の電源から同じ電気製品(デバイス)に電力を供給したい場合、それに対応したACアダプターを準備すれば、幅広い使用が可能になります。これにより、特定の電源でのみしか使用できない電気製品を製造する必要が無くなります。

他にも、ACアダプターを用いることにより、安全性を高めることが可能です。感電すると即死の危険があるほどの100V・240V(日本では100V)の商用電源が、安全な低電圧に変換され、ユーザーの取り扱う機器に低い電圧で電力が供給することができます。

ACピンの種類・形状は?

ACピンは折り畳み可能のものから、世界各国の規格に対応したACピン交換の物もあります。当社では、世界各国にACアダプターを供給している実績があり、仕向け国に応じたACピンの対応が可能です。

下記の表にて、主なACピンの種類・形状をご紹介致します。

Aタイプ

AタイプのACピンの写真
日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジルなど南米の一部、台湾、中国(中・北部地方)、タイの一部

Aタイプでピンの穴が不要な場合(中国規格認証タイプ)

Aタイプでピンの穴が不要な場合(中国規格認証タイプ)のACピンの写真

丸2ピン

丸2ピンのACピンの写真
ヨーロッパ各国、および旧ヨーロッパ領の国々、韓国、ベトナム、カンボジア、インドネシア、インド、エジプト

Oタイプ

OタイプのACピンの写真
オーストラリア、ニュージーランド等のオセアニア地域、中国の中北部地域、アルゼンチン、フィリピン

BFタイプ

BFタイプのACピンの写真
イギリス、香港、シンガポール、中国、マレーシア

ACアダプター本体の特徴は?

アダプターの形状は、L字型、ストレート型、インレット型などであり、近年では本体機器側のデザインに合わせて、様々な形状のACアダプターが登場しています。

当社では上記の形状のACアダプターに加え、丸型筐体のACアダプターもラインナップしております。

L字型

L字型のACアダプターの写真

ストレート型

ストレート型のACアダプターの写真

ACピン折畳式

ACピン折畳式のACアダプターの写真

丸型

丸型のACアダプターの写真

ACピン脱着可能タイプ
(4方向で使用可能)

ACピン脱着可能タイプ(4方向で使用可能)のACアダプターの写真

インレット型

インレット型のACアダプターの写真

インレット型ACアダプターのAC入力の差込口は大きく3種類で、通称ブタ鼻型と呼ばれるIEC60320-C1、メガネ型と呼ばれるIEC60320-C7、3極のIEC60325-C5、IEC60320-C14,が挙げられます。

ACアダプターを採用する際のヒント

より長く使えるACアダプターを選ぶには

一般的に定格出力が30%大きい機種を選択すると、ACアダプターをより長く使えると言われております。

例えば、ACアダプターを使用する機器に60Wの電力が必要な場合は、定格出力が75W以上の機種を選択すると良いとされており、定格ギリギリの極限状態で長期的に使用すると、寿命を効果的に伸ばすことができない可能性があります。

動作環境に注意する

選定する際に、ACアダプターの動作環境温度や、外助の散熱設備があるかを考慮する必要があります。高い環境温度で動作させる場合や、その他条件がありましたら、弊社営業までお問い合わせいただくようお願い致します。

正しいDCプラグを選定する

DCプラグの選定も正しいものを選ばないと動作がしなかったり、思わぬ事故につながる可能性があります。センタープラスやセンターマイナスといったDCプラグの極性の選択や、EIAJの電圧区分等の確認を正しく行う必要があります。DCコードの長さも様々です。

機器のピーク電流を考慮する

歯科用の機器や、プリンター、ミシン、電動髭剃りやマッサージ機器などのモーター駆動を採用している機器には、ピーク電流を考慮したアダプターの選定が必要です。ユニファイブでは定格の2倍で1秒から10秒のピーク電流に対応したACアダプターをラインアップしております。

製品の安全規格を確認する

ACアダプターを使用する機器の種類により、必要な安全規格や技術基準が変わります。例えば医療機器に使う場合は医療規格、LEDデバイスに使う場合は高調波電流規格に沿ったアダプターを採用するなどです。また、ACアダプターの仕向け国によってその国々の安全規格や、技術基準に適合する必要があります。また、DoEやErP、FCCといった効率基準にも注意が必要です。

ACアダプターの歴史

その1:リニア電源の登場とデメリット

もともとACアダプターとは、商用電源をより低い電圧に変換するための変圧器と、それをDCに変換する整流器、及び脈動波形を平滑化するフィルタで出来たリニア電源(ドロッパー)のことであり、機器側へのリップルの影響が大きいものを指しました。ただし、この「リニア電源」は、10W以上の定格では、大きいトランスを用いるので、アダプタそのもののサイズが大きくなってしまい、重量も重くなり、物理的に壁のコンセントでは支える事が困難という問題がありました。

「リニア電源」のACアダプターの出力電圧は、負荷によって変わるのが一般的です。安定した電圧が求められる機器には、回路にリニア電圧レギュレーターが加えられましたが、効率は高くなく、ロスが大きいので無負荷状態の時であっても電力を消費し、そのロスは熱として放熱されていました。

その2:スイッチング電源の登場

21世紀の初めに、上記のようなリニア電源のデメリットを克服するため、SMPS(スイッチ・モード・パワー・サプライ)と呼ばれるスイッチング方式直流安定化電源が、主流になっていきました。

スイッチング電源では、入力AC電圧をそのままダイオードブリッジ整流器で整流し、アルミ電解コンデンサで平滑後、スイッチング素子の激しいオンオフの切り替えで、二次側へ伝えます。この激しいオンオフの高い周波数は、変圧器を小さくすることを可能にし、リニアに比べてロスを低減することができます。また、高周波リップルは簡単に取り除くことが可能です。なので、スイッチングレギュレータはリニアレギュレーターよりも遥かに効率的であり、その結果、軽量でコンパクトなサイズが実現できるのです。

小さい変圧機でも大丈夫なのか、と疑問に思う方もいるかと思いますが、SMPSの変圧機はガルパニック絶縁(ガルパニック・アイソレーション)を採用しているので、安全性が確保されています。

リニア電源の回路は入力電圧の範囲が狭く設計されており、(例AC95V〜105V)一般的に50または60Hz程度の周波数に適したトランスが使われています。それに比べてスイッチング電源は、非常に幅広い入力電圧と周波数で効率的に動作します。100VACから240VACまでカバーし、ほぼ全世界の商用電源に対応しています。いわゆるユニバーサルタイプのことです。

ただし、このスイッチング方式直流安定化電源も、雷による過負荷や、ESR等々には弱いので、使用環境にて、落雷の懸念、広い温度範囲でのご使用を希望されるお客様は、当社のESRやリップル・ノイズ対策、雷サージ対策、温度範囲対策のしっかりとした設計のモデルを採用されることをお勧めいたします。

その3:USB ACアダプターの普及

昨今、多くのポータブルデバイス向けにUSBコネクターが採用されています。データ送信に加えて、出力DC5V、最大で500mA(USB3.0になり900mAまで可能)を機器に供給することが可能です。ポータブルバッテリーから、コーヒーメーカー、小型ランプから目覚まし時計など、多種多様な機器がUSBコネクタから電力を得るように設計されるようになってきました。2012年になると、最大100Wの供給を標準化するUSB パワーデリバリーが提案され、だんだんと普及してきました。

最近はGaN素子を使って小型化したACアダプターが登場しており、より持ち運びにメリットのある製品が登場しております。

ACアダプターを使用する利点 まとめ

当社HP内のACアダプターを使用する場合と交流電源を直接使用する場合のメリット、デメリットのページにて、ACアダプターを使用する場合のメリットおよびデメリットを簡単にご紹介しておりますが、ここでは、より詳細にまとめたいと思います。

その1:安全性

ACアダプターを採用することにより、電気製品設計者は、販売仕向け国が定める安全性に関する法律の規制を受けずに本体機器を設計することが可能となります。

その2:本体機器の電源の熱を下げることができる

電気製品にとって、熱は宿敵であり熱が上がると電子部品の寿命や、信頼性に影響を及ぼし、繊細な回路が誤作動を引き起こす可能性があります。電源を外部電源にすることにより、製品自体の内蔵電源による熱を除去することが可能になります。

その3:本体機器に及ぼすノイズの影響を下げることができる。

本体機器のノイズに敏感な回路に悪さをする電気的なノイズを下げることができます。電気的なノイズは距離の二乗で低下するため、ACアダプターで距離を取ることにより、影響を低減できます。

その4:本体機器の重さとサイズの軽量化、小型が可能。

電源を外部電源とすることにより、その分の機器本体の小型が可能となります。

その5:本体機器のメンテナンスが容易にできる。

電源は、他の回路に比べて、出力スパイクや本体機器の発熱に弱く、故障しやすいので、電源を外部電源にすることによって、万が一故障した場合でもユーザーが簡単に交換できるので、いちいち本体機器ごと修理しなければいけない手間が省けます。

その6:利便性の向上が可能。

ACアダプターを採用している本体機器は、必要に応じて様々な電圧に対応できます。

(例えばユニバーサルタイプのACアダプターを採用することにより、世界各国のコンセントから電源を問題なく得られます)

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