IEC61000-3-2 高調波電流規制について
ACアダプター、スイッチング電源における高調波電流の規制について解説したページです。IEC610003-2-2018等について説明しております。
IEC61000-3-2とは
IEC610003-2 EMCパート3-2、高調波電流発生限度値(1相当たりの入力電流が16A以下の機器)は、第2次から第40次までの高調波電流成分の最大値を規定することで、電源の電圧ひずみを抑える目的で定められた国際規格のことで、定格電流が16Aまでの機器に適用されます。(16A超の機器については、IEC 61000-3-12にて定められております)
現在最新の規格は、第5版のIEC 61000-3-2:2018で、対応する欧州規格はEN 61000-3-2と呼ばれます。
IEC61000-3-2 2018の概要に統合
第5版であるIEC 61000-3-2:2018は、2014年に発行された第4版に代わる高調波電流規制の規格のことです。この版にて技術的な改訂が少し入っております。 第5版では、前版からの技術的な大きな変更点として、以下の点が挙げれます。
a) 新しいタイプの照明機器を考慮に入れるための、定格電力≦25Wの照明機器の排出規制値の更新。
b) 全ての照明機器への、排出制限が適用されない5Wのしきい値の追加。
c) 非白熱灯を動作させる際の調光器に適用される要件の変更。
d) デジタル負荷側伝送制御装置の試験条件の追加。
e) 照明機器の試験における基準灯及び基準安定器の使用の廃止。
f) 照明機器に使用される用語の簡素化と明確化。
g) 舞台照明及びスタジオ用の業務用照明機器をクラスAに分類。
h) 非常用照明機器の分類の明確化。
i) 有効入力電力≦2Wの制御モジュールを1つ含む照明機器の明確化。
j) テレビ受信機の試験条件の更新。
k) 他の種類の調理機器も考慮に入れたIHコンロの試験条件の更新。
l) IEC 61000-3-12との整合性を保つため、IEC 61000-3-2の範囲を入力電流≦16Aの機器から定格入力電流≦16Aの機器へ変更。
ACアダプター及びスイッチング電源における高調波電流規制
電源における高調波電流対策はPFC回路(力率改善回路)にて対策を行うことを言います。通常のACアダプターは出力が75W以上の以上の製品に対して、この対策が必要ですが、高調波電流規制で定められているLED用のACアダプターに関しては5W以上の製品に対してこの対策が必要です。
PFC回路無しの通常のACアダプターは力率が0.5~0.6なのに対し、この規制では力率が0.9と定められています。
日本国内での高調波電流規制
国内ではJIS C61000-3-2:2019と呼ばれる規格があります。ただし中華圏やヨーロッパとは違い、法規制はされておりませんが、経済産業省から尊守を要請されている規格です。また、JLMA,日本照明工業会にて5W以上の照明機器が全て対象となっております。(詳細は日本照明工業会HPにてご確認をお願い致します。)
ユニファイブでは、日本照明工業会が推奨している規制に対応したACアダプター、スイッチング電源の開発が完了しております。