情報技術機器向けACアダプターのフルカスタム対応事例|通信機器・ゲートウェイ用途
情報技術機器向けACアダプターのフルカスタム対応事例。通信機器・ゲートウェイ用途において、要求仕様に基づき設計段階から対応した実例をご紹介します。
目次
フルカスタム対応とは
フルカスタム対応とは、安全規格要件・信頼性条件・使用環境を前提に、回路設計から最適化を行う対応です。セミカスタムでは対応できない要求仕様がある場合に選択されます。
フルカスタム対応事例①
国内通信キャリア向けルーター用ACアダプター開発
国内大手通信事業者向けルーター用途として、ACアダプターのカスタム開発依頼をいただきました。
本案件では、
- 国内向け製品でありながらIEC60950準拠が必須
- 通信事業者独自の信頼性基準
- 機器メーカー様独自の電源採用基準
という複数の条件を同時に満たす必要がありました。
ヒアリングと設計段階での対応
初動段階において、以下の点を重点的にヒアリングしました。
- 発熱条件
- 伝導ノイズの調整方針
- 実使用環境を想定した信頼性条件
その上で、
- 回路設計
- 評価治具の作成
- PSE・IEC60950取得
を含めたフルカスタム対応を実施しました。
フルカスタム対応事例②
ゲートウェイ機器向け広温度範囲ACアダプター
ワイヤレス機器メーカー様より、IoMゲートウェイ用途のご相談をいただきました。
一般的なACアダプターは、動作保証温度範囲が0~40℃であることが多く、-20~60℃での動作保証が必要な本用途では使用できませんでした。
要求背景と対応内容
ヒアリングの結果、以下の事情が判明しました。
- 一度設置すると移設が困難
- 高温・低温環境での使用が想定される
- 通信停止が社会的影響を与える用途
そこで、実負荷より余裕のある定格のACアダプターをベースに設計をモディファイし、-20~60℃での動作保証を可能としました。
本製品は現在、高速鉄道車内Wi-Fiサービスにも採用されています。
フルカスタム対応の成果
この対応をきっかけに、ユニファイブでは広温度範囲対応のSUシリーズをリリースするに至りました。
フルカスタム対応は、単なる一品対応に留まらず、将来の製品ラインナップ拡張にもつながる重要な取り組みです。
IEC 62368-1 への移行と電源設計への影響
近年、情報技術機器の安全規格は IEC 60950-1 からIEC 62368-1へ移行しており、これは従来の安全規格を単純に統合したものではなく、危険源に基づく安全設計(HBSE)を基本概念とした新しい規格です。
IEC 62368-1 は、情報通信機器・AV機器の安全要件を広い視点で規定しており、設計段階でリスク評価を行い、ユーザーに与える可能性のある危険を低減する設計思想が求められています。
ACアダプターのカスタム対応においても、IEC 62368-1 に準拠できる設計・評価戦略を持つことが重要であり、ユニファイブではこれを前提に最適なソリューションを提案しています。
おさえておきたい IEC 62368-1 の考え方
フルカスタム対応では、設計の自由度が高くなる分、安全規格の要件が設計そのものに影響します。IEC 62368-1 は、従来の IEC 60950-1 の枠組みを超えて、未知のエネルギー源や多様化した製品設計にも対応できる安全評価モデルとして採用されています。
IEC 62368-1 は、単に安全試験項目を列挙するのではなく、製品内部のエネルギーをどのように制御・防護するかを安全戦略として設計段階から検討することが求められます。
IEC 62368-1 の設計影響ポイント
- ハザードベース評価(HBSE)に基づく設計アプローチ
→ 危険源(例:高電圧/熱源)を特定し、それに対する防護措置を製品設計に組み込む必要があります。 - エネルギー系統の分類と保護レベルの設定
→ IEC 62368-1 は従来の規格よりも要求する安全水準を明確に分類します。 - グローバル展開時の認証戦略
→ IEC 62368-1 は欧米主要市場で事実上標準となっており、これに適合した設計は海外展開の確実性を高めます。
ユニファイブのフルカスタム対応と IEC 62368-1
ユニファイブのフルカスタム対応では、
- 安全規格の評価を初期ヒアリング段階で実施し
- IEC 62368-1 に基づいたリスク分析・防護設計を反映
- 認証取得まで見据えた設計改善提案
を行います。特に情報機器・通信機器用途では、製品用途や市場ごとの安全要件に応じた設計最適化が競争力に直結します。
ユニファイブでは、セミカスタム対応による迅速な規格適合、フルカスタム対応による専用設計の両面から、情報技術機器向けACアダプターの最適なソリューションをご提案しています。