ACアダプターの安全な取り扱い 第9回 「保護機能の確認を忘れるべからず!」

ACアダプターの安全な取り扱い方をご紹介しております。第9回は「保護機能の確認を忘れるべからず!」の特集です。ACアダプターの保護機能について解説しております。

ACアダプター”べからず”シリーズ 保護機能の確認を忘れるべからず

 お客様から次のようなお問い合わせをいただくことがあります。

「出力過電圧の状態を解除しても、アダプターの出力が復旧しない」 

そのようなお問い合わせをされる前にはぜひ納入仕様書の保護機能欄(PROTECTION)の記載内容のご確認をお願いいたします。なお、弊社製品の納入仕様書では、通常は次の3種類の保護機能について規定をしております。

  1.  OVER CURRENT PROTECTION(過電流保護機能)
  2.  SHORT CIRCUIT PROTECTION(短絡保護機能)
  3. OVER VOLTAGE PROTECTION(過電圧保護機能)

今回はその中で最も誤解しやすい(と勝手に思っている)3項の“OVER VOLTAGE PROTECTION(以下、OVP)”についてお話しをさせていただきます。

 

OVPについて「スイッチング電源用語集(電子情報技術産業協会)」には、「電源機器保護の一つで、あらかじめ設定された出力電圧以上になった時、出力を遮断して負荷を保護する機能。」と記載されています。また、同用語集の「自動復帰:Automatic Restart」には、「異常状態に対して作動した保護機能が、異常状態の解除と共に正常動作状態に自動的に戻る機能。」と記載されています。つまり、冒頭の「出力過電圧の状態を解除しても、アダプターの出力が復旧しないのだが・・・」というお問い合わせは、「自動復帰しないのだが・・・」ということになります。

次にご確認いただきたいのが、製品納入仕様書のOVPの項になります。弊社製品では、コントロールICや回路方式などによりOVPには次の2種類のうちのいずれかを採用しております。

A.AUTO RECOVERY

B.LATCH

Aの「AUTO RECOVERY」は上記用語集の「Automatic Restart」と同じく“自動復帰”の意、Bの「LATCH」はそのまま“ラッチ”ということです。えっ、分からない?“ラッチ=かんぬき”ですよ、相撲であるでしょ、双差しもろざしにきた相手の腕を肘のところで決めるやつ、、、ますます意味が分からないですかぁ?じゃあ、これでは?

 

「門のかんぬき」

つまり、OVPの項に「AUTO RECOVERY」と記載されていればOVPの原因が解除されれば“自動復帰する(上の写真では「かんぬきの棒を抜けば自動的に門が開く」)“し、「LATCH」と記載されていればOVPの原因が解除されても“自動復帰しません(上の写真では「かんぬきの棒を抜いただけでは門は開きません」)”、ということです。

 

ちなみに一般的なACアダプターはケース内に基板が収められていることから、製品出荷前の完成品の状態では、基板上に過電圧を印加してのOVP動作確認はできません。従いまして、弊社では「AUTO RECOVERY」対応の製品のうち外部から過電圧を印加してのOVP検査が可能な製品以外(OVP検査のために基板上への過電圧印加やパターンをオープンにする等の必要がある製品)は、設計・開発時の信頼性評価試験の結果をもってOVP検査の代用としております。また弊社では、「AUTO RECOVERY」対応の製品のうち外部から過電圧を印加してのOVP検査が可能な製品につきましてもお客様から個別に製品出荷時のOVP検査実施をご要求いただいている一部の製品を除いては、これらも設計・開発時の信頼性評価試験の結果もってOVP検査の代用とさせていただいております。

以上のことから、お客様におかれましては各々のご使用条件により、OVP動作後に装置側での安全確認後の手動による再起動が必要であれば「LATCH」対応の機種を、OVP動作後に出力過電圧の状態解除から自動での復帰が必要であれば「自動復帰」対応の機種をご選定していただく必要がありますので、ACアダプター選定の際には保護機能の確認をお願いいたします。

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