ST Part 3・IEC 61558-2-7適合|おもちゃ・玩具用カスタムACアダプター開発事例

玩具向けACアダプターに求められる3つの安全基準――ST Part 3(化学的安全性)、IEC 61558-2-7/JIS C 61558-2-7(表面温度60℃以下)、モーター起動時のピーク電流対応を、1台のカスタム電源ですべてクリアした開発事例。35年の電源設計ノウハウで、玩具メーカーの開発・品質ご担当者様を支援します。

玩具向けカスタムACアダプター

「玩具の安全基準に、確実に適合する電源を選びたい」――そんな開発・品質ご担当者様へ

おもちゃや知育玩具では、製品本体だけでなく、付属する「ACアダプター(電源)」にも非常に厳しい安全基準が求められます。

先日も、ある大手玩具メーカー様から「ST Part 3・表面温度・実負荷条件のすべてを、確実にクリアできる電源を採用したい」というご相談をいただきました。標準的なACアダプターでは、玩具特有のこれらの要件をすべて満たすのは簡単ではありません。

今回は、ST Part 3・表面温度・ピーク負荷という3つの要件を、カスタム電源で確実にクリアし、安心して採用いただける1台に仕上げた事例をご紹介します。

お客様の課題と背景

ステップ 施策 効果
1 お客様専用の金型を新規起工し、他製品との混入・汚染を区別管理 ST Part 3(化学的安全性)を確実にクリア
2 筐体サイズと内部の放熱設計を最適化 表面温度60℃以下の試験をクリア
3 実負荷条件(常時電流・ピーク値・保持時間 等々)を当社エンジニアが分析し、最適な出力仕様を綿密にご提案 必要十分なスペックに作り込み、お客様のコストと信頼性の最適バランスを実現

なぜ「専用金型の新規起工」まで踏み込んだのか――ST Part 3対応の技術的背景

玩具安全基準 ST Part 3 は、ホルムアルデヒドやフタル酸エステル類(DEHP・DINPなど)、重金属8元素(鉛・カドミウムなど)の溶出・含有を含む化学試験で構成されており、それぞれに厳しい数値基準が定められています。

ACアダプターでは、樹脂ケースやコネクタ部の樹脂、塩ビ系ケーブル被覆材などが、この基準の対象となります。量産ラインで他のお客様向け部材と設備を共有する標準的な生産方式では、ごく微量の混入・残留でも基準超過のリスクが避けられません。

このリスクを根本から断つため、当社はお客様専用の金型を新規起工し、原料・成形・組立に至るまで他製品と明確に区別する生産体制を構築。化学物質の混入経路そのものを設備レベルで遮断することで、ST Part 3の各試験項目を確実にクリアできる体制で対応しました。

なぜ筐体と放熱設計を一体で最適化したのか――IEC 61558-2-7が定める表面温度基準

玩具用ACアダプターには、国際規格 IEC 61558-2-7(玩具用変圧器及び玩具用電源装置の個別要求事項及び試験)が適用されます。スイッチング電源の場合は IEC 61558-2-16(スイッチモード電源装置の個別要求事項)と組み合わせて評価され、国内対応規格として JIS C 61558-2-7 が定められています。

これらの規格では、子供が直接触れることを前提に、通常負荷時・過負荷時の両方でACアダプター本体の表面温度に対する温度限度値が定められており、一般機器向けの電源規格と比べて大幅に厳しい水準(例:60℃以下)が要求されます。

実負荷で一定の発熱がある電源を、限られた筐体サイズに収めながらこの温度限度をクリアする熱設計は、机上の計算式だけでは最適解にたどり着けない領域です。熱源の発熱量、筐体内の気流、樹脂材質ごとの熱伝導特性などが複雑に絡み合うため、過去の試作・評価データの蓄積と、熟練エンジニアの経験則をもとに"作り込む"必要があります。当社は、35年以上にわたって電源設計で積み上げてきたノウハウを頼りに、過負荷試験を含む規格試験を確実にクリアする熱設計に仕上げました。

なぜ"必要十分"な出力設計にたどり着けたのか――ピーク電流と実負荷条件の見極め

モーターやLED、スピーカーなどを使う玩具では、起動時の突入電流(インラッシュカレント)や瞬間動作のたびに、大きなピーク電流が発生します。単純にカタログ上の最大ピーク値で電源を選定すると過剰スペックになってコスト・サイズが膨らみ、逆に絞りすぎると保護回路が誤動作して玩具が止まってしまう――この狭い最適解を見つけることが、玩具用ACアダプター開発の難所のひとつです。

実負荷の挙動は、常時電流・ピーク値・保持時間のほかにも、繰り返し周期、起動頻度、複数アクチュエータの同時動作など多くの要素が絡みます。さらに量産品では個体ばらつきや、お客様の製品が実際に使われる環境の幅も考慮する必要があり、カタログ上の最大値だけを見て電源を選ぶと、実機での挙動に合いません。

当社は、お客様の製品の動作シナリオを当社エンジニアが丁寧に紐解いたうえで、過去のモーター駆動・LED駆動など類似事例の蓄積と、「どこを削り、どこを残せば実機で安定動作するか」という経験則をもとに、本当に必要な出力プロファイルを定義。過剰スペックを避けつつ、実機で誤動作なく動く"必要十分"な仕様に作り込みました。

導入後の成果

1. 「他社では難しい」と言われた玩具安全基準(ST Part 3・表面温度)を確実にクリアし、量産化を実現

2. 当社エンジニアによる実負荷の作り込みで、必要十分なスペックを見極め、コストと信頼性の最適バランスを実現

3. ST Part 3・表面温度・ピーク負荷の3つの要件を1台のカスタム電源ですべてクリアし、お客様の製品開発に確かな安心材料を提供

お客様の声

お客様の声「標準品では無理と言われた基準も、御社は実際にクリアしてくれました。これで安心して製品化に進めます!」

玩具メーカー 開発ご担当者様

同じようなお悩みをお持ちの方へ

もし一つでも当てはまるなら、ぜひ当社にご相談ください。おもちゃ向けに限らず、過酷な環境・特殊な基準でも信頼性を発揮する電源ソリューションで、お客様の課題解決をサポートします。いきなりフルカスタムでなくても、標準品をベースにしたセミカスタムから対応できます。仕様が固まっていない段階でも、お気軽にどうぞ。

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