防水ACアダプターの選び方|IP65・IP67の違いと屋外・水回りで失敗しない電源選定

防水ACアダプター選定に必要なIP65・IP67の違い、防水・防塵等級の一覧表、屋外・水回りで確認すべき7項目を電源メーカーのユニファイブが解説。IP65/IP67両対応の標準品と防水コネクタもご紹介。

▼ 目次

防水ACアダプターとは

防水・防塵等級「IPコード」の読み方

IP65とIP67の違い

防水ACアダプター選定で確認すべき7項目

当社の防水ACアダプター標準品(IP65/IP67対応)

標準品で合わない場合はカスタム対応も可能

防水ACアダプターに関するよくある質問

防水ACアダプターとは

防水ACアダプターとは、水や粉じんの侵入に対する保護構造を備えたACアダプターです。屋外に設置する機器や、水回りで使用する機器の電源として使用されます。

一般的な屋内用ACアダプターをそのまま屋外や水回りで使用すると、水分や粉じんの侵入による故障、漏電、発熱、接触不良などのリスクにつながります。防水ACアダプターは、筐体の密閉構造、ケーブル引き出し部のシール、防水コネクタなどによって、こうしたリスクを低減します。

ポイント:防水性能は、アダプター本体の筐体だけで決まるものではありません。ケーブル引き出し部、コネクタの接続部、設置方法まで含めて、水の侵入リスクを評価することが重要です。


防水・防塵等級「IPコード」の読み方

防水・防塵性能を確認する際に基準となるのが、IP等級(IPコード)です。電気機器の外郭(筐体)が固形物や水の侵入からどの程度保護されているかを示す等級で、国際規格 IEC 60529 で定められており、日本では JIS C 60529「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」として規格化されています。JIS C 60529は2026年1月に制定された規格で、長年使われてきたJIS C 0920を引き継ぎ、規格番号を国際規格とそろえたものです。

「IP」に続く2桁の数字のうち、第一記号(1桁目)が固形物・粉じんに対する保護等級、第二記号(2桁目)が水に対する保護等級を表します。数字が大きいほど保護のレベルが高くなります。

例:IP67 の場合

IP 6 7
コード文字 第一記号
防塵等級(0〜6)
第二記号
防水等級(0〜9)

評価を行っていない項目は、数字の代わりに「X」と表記します。たとえば「IPX7」は、防水等級(第二記号7)のみを規定し、防塵等級は評価していないことを意味します。「X」は「保護等級ゼロ」ではなく「未評価・規定なし」を表す点に注意してください。

第一記号:防塵等級(0〜6)の一覧

第一記号は、固形物・粉じんの侵入に対する保護等級を0〜6の7段階で表します。等級5は「防塵形」、最高等級の6は「耐塵形」と呼ばれます。防水ACアダプターでは、耐塵形の「6」と防水等級を組み合わせたIP65・IP67が一般的です。

等級 保護の内容
0 保護なし
1 直径50mm以上の固形物(手の甲など)が内部に侵入しない
2 直径12.5mm以上の固形物(指など)が内部に侵入しない
3 直径2.5mm以上の固形物(工具の先端など)が内部に侵入しない
4 直径1.0mm以上の固形物(ワイヤーなど)が内部に侵入しない
5 粉じんの侵入を完全には防止できないが、機器の正常な動作を妨げる量の粉じんは侵入しない(防塵形)
6 粉じんが内部に侵入しない(耐塵形)

第二記号:防水等級(0〜9)の一覧

第二記号は、水の侵入に対する保護等級を0〜9で表します。等級ごとに、水滴・噴霧・噴流・水没・高圧高温水といった試験方法が定められています。最高等級の「9」は、IEC 60529の2013年改正で追加され、日本でも2026年1月制定のJIS C 60529で正式に導入されました。

等級 名称 保護の内容
0 保護なし
1 防滴I形 垂直に落ちる水滴によって有害な影響を受けない
2 防滴II形 15度以内に傾けた状態で、落ちる水滴によって有害な影響を受けない
3 防雨形 垂直から60度以内の範囲の噴霧水によって有害な影響を受けない
4 防まつ形 あらゆる方向からの水の飛まつによって有害な影響を受けない
5 防噴流形 あらゆる方向からの噴流水によって有害な影響を受けない
6 耐水形 あらゆる方向からの強い噴流水によって有害な影響を受けない
7 防浸形 規定の条件(水深1m・30分間が目安)で一時的に水没しても、有害な量の水が浸入しない
8 水中形 製造者と使用者の取り決めによる条件(等級7より厳しい条件)で、連続的に水没しても有害な量の水が浸入しない
9 高圧・高温の水噴流によって有害な影響を受けない

等級9の試験では、80℃程度の熱水を専用ノズルから高圧で噴射します。医療機器や食品機械など、高圧・高温洗浄が行われる環境で参照される等級です。なお、自動車業界では、ISO 20653 に基づく類似の等級「IP69K」が使われています。


IP65とIP67の違い

防水ACアダプターの仕様として最もよく使われるのが、IP65とIP67です。どちらも防塵は最高等級の「6(耐塵形)」で、防水の等級と試験内容が異なります。

等級 保護の内容 想定シーン
IP65 粉じんの侵入を防ぎ、あらゆる方向からの噴流水に耐える 雨、水しぶき、屋外設置
IP67 粉じんの侵入を防ぎ、規定条件での一時的な水没に耐える 一時的な水没リスクのある環境、水回りの機器、屋外機器

より上位のIP68(水中形)は、継続的な水没に耐える等級ですが、水深・時間などの試験条件は製品ごとに製造者が規定します。同じ「IP68」でも保証内容が異なるため、数字だけでなく規定条件まで確認してください。

注意:水没系の等級(IPX7・IPX8)と噴流系の等級(IPX5・IPX6)は試験の系統が異なります。IP67の製品が、噴流水(IPX5・IPX6相当)に耐えられるとは限りません。雨・水しぶきと一時的な水没の両方が想定される環境では、「IP65/IP67」のように両方の等級に対応した製品を選ぶことが確実です。

IP等級では保証されない主な項目

  • 常時水没(IPX7は「一時的な水没」が対象)
  • 海水・薬品・洗浄剤への耐性
  • 高温・高圧洗浄(IPX9・IP69Kの領域)
  • 内部結露・高湿度環境への耐性
  • 紫外線や経年によるシール材の劣化
  • ケーブル接続部・コネクタ嵌合部(等級の試験範囲に含まれるかを確認)

防水ACアダプター選定で確認すべき7項目

IP等級の数字だけで判断すると、実際の使用環境で想定外のトラブルにつながることがあります。選定時には次の7項目を確認してください。

1. 必要な防水・防塵等級

雨・水しぶきが中心か、一時的な水没の可能性まであるか、使用環境から必要な等級を決めます。あわせて、その等級がアダプター本体のみを対象とするのか、ケーブル・コネクタを嵌合した状態を含むのかを確認してください。

2. 出力電圧・電流・電力(W数)

機器が必要とする電圧(12V・24Vなど)と電流を確認します。防水構造は筐体を密閉するため放熱に不利で、熱設計の難易度が上がります。周囲温度と出力電力の関係(ディレーティングカーブ)を確認し、実使用環境の最高温度で必要な出力が得られるかを確認してください。

3. 安全規格・省エネ規制への適合

販売する国・地域の安全規格への適合が前提です。日本では電気用品安全法(PSE)が該当します。地域によっては、CE、UKCA、FCCや、外部電源の省エネ規制(米国DoE Level VIなど)への対応も必要です。

4. 使用温度範囲・結露・経年劣化

IP等級は「外部からの水の侵入」に対する保護を示すもので、内部結露や高湿度、塩害への耐性を保証するものではありません。また、IP試験は新品状態で行われるため、パッキンやシール材の経年劣化も考慮が必要です。屋外では使用温度範囲と紫外線への耐性もあわせて確認してください。結露が想定される環境では、基板への防湿コーティング(コンフォーマルコーティング)などの対策も選択肢になります。

5. ケーブル長・コネクタ・防水接続方法

アダプター本体が防水でも、DC側コネクタの防水性と嵌合構造が不十分であれば、機器全体としての防水は成立しません。必要なケーブル長、コネクタの種類、機器側との接続方法まで含めて検討してください。

6. 取り付け・固定方法

屋外設置では、壁面へのねじ止めやブラケットによる固定、ケーブルの取り回しなど、設置方法の検討が必要です。ケーブル引き出し部に水が伝わらない向きで設置できるかも確認ポイントです。

7. 量産時の供給性とカスタム可否

組み込み用途では、長期の安定供給と小ロットへの対応が重要です。将来の仕様変更(電圧変更、コネクタ変更、筐体変更など)に対応できるか、カスタムの余地もあわせて確認しておくと、機器の設計変更時に選び直しを避けられます。


当社の防水ACアダプター標準品(IP65/IP67対応)

当社は、IP65/IP67の両等級に対応した防水ACアダプターを、36Wと70Wの標準品としてラインアップしています。噴流水(IP65)と一時的な水没(IP67)の両方の試験系統に対応しているため、雨・水しぶきと水没リスクが重なる屋外環境でも選定しやすい仕様です。

シリーズ 出力 電圧ラインアップ 防水・防塵等級 主な特徴
UHCH3036 36W 12V/15V/19V/24V IP65/IP67 小〜中出力の屋外・水回り機器向け
UHCH3070 70W 12V/15V/19V/24V IP65/IP67 高めの出力が必要な機器向け

出力構成は、UHCH3036が12V 3.0A、15V 2.4A、19V 1.9A、24V 1.5A、UHCH3070が12V 6.0A、15V 4.8A、19V 3.8A、24V 3.0Aです。いずれも防水仕様のコードtoコード形状で、壁面へのねじ止め固定に対応しています。

安全規格・規制は、PSE(日本)のほか、CE、UKCA、FCC、米国DoE Level VIに対応しています。省エネ性能は、平均効率87.40%・無負荷時消費電力0.1W(36W)、平均効率88.00%・無負荷時消費電力0.21W(70W)です。防犯カメラ、屋外設置のIoT機器・センサー、水回りで使用する機器、屋外設置機器の電源として採用いただいています。

防水コネクタも標準ラインアップ

防水は、アダプター本体とコネクタの両方がそろって初めて成立します。当社では、ヒロセ電機製などの防水コネクタを標準ラインアップしており、防水ACアダプターと防水コネクタをセットで選定できます。電源とコネクタを一括でご相談いただけるため、機器全体での防水設計を進めやすくなります。対応する型番は「対応DCプラグ一覧」でご確認いただけます。

防水コネクタのほかにも、当社は300種類以上のDCプラグ・接続端子に対応しており、コード長の変更や特殊端子の圧着にも柔軟に対応します。

防水ACアダプター標準品の一覧を見る


標準品で合わない場合はカスタム対応も可能

標準品の仕様で使用環境に合わない場合は、カスタム開発で対応します。当社では、標準品をベースにしたセミカスタムから、防水構造・筐体・回路設計を含むフルカスタムまで対応しています。

基板電源への防湿・防塵コーティングにも対応

防水ACアダプターのような密閉筐体ではなく、機器に内蔵する基板電源(オープンフレーム電源)を採用する構成もあります。当社は工場に基板の防湿・防塵コーティング(コンフォーマルコーティング)設備を保有しており、湿度・結露・粉じんが懸念される環境向けに、基板をコーティングした状態での供給が可能です。防水ACアダプターと機器内蔵の基板電源のどちらの構成が適しているかという段階から、ご相談いただけます。

実際の開発事例は、「防水・防塵ACアダプターのフルカスタム開発事例」「防水×広温度対応の導入事例」でご紹介しています。そのほかの事例はカスタマイズ事例をご覧ください。


防水ACアダプターに関するよくある質問

Q. IP67なら屋外で常に使えますか?

A. IP67は、規定条件での一時的な水没(水深1m・30分間が目安)への保護を示す等級です。常時水没、海水・薬品への耐性、高温・高圧洗浄、ケーブル接続部の防水は別途確認が必要です。

Q. IP65とIP67はどちらを選べばよいですか?

A. 雨や水しぶき、噴流水が中心の環境ならIP65、一時的な水没リスクまで考慮する場合はIP67が候補です。両方の耐性が必要な場合は、IP65/IP67の両等級に対応した製品が確実です。実際には、使用環境と設置方法をあわせて判断します。

Q. IPコードの規格が新しくなったと聞きました。何が変わりましたか?

A. 2026年1月に、日本のJISが従来のJIS C 0920から、国際規格と番号をそろえたJIS C 60529へ刷新されました。水に対する保護等級に「9」(高圧・高温の水噴流)が追加されています。IP65・IP67など既存の等級の意味は変わりません。

Q. 結露や湿度が心配な環境では、どのような対策がありますか?

A. IP等級は外部からの水の侵入に対する保護を示すもので、内部結露や高湿度への耐性は保証されません。対策の一つが、基板への防湿・防塵コーティング(コンフォーマルコーティング)です。当社は工場にコーティング設備を保有しており、基板電源(オープンフレーム電源)への対応が可能です。

Q. 12Vや24Vの防水ACアダプターはありますか?

A. 当社の標準品UHCH3036(36W)とUHCH3070(70W)は、12V・15V・19V・24Vのモデルを展開しています。いずれもIP65/IP67を選択いただけます。

Q. 防水コネクタ付きのACアダプターに対応できますか?

A. 対応できます。当社では、ヒロセ電機製などの防水コネクタを標準ラインアップしており、防水ACアダプターとセットでご提供できます。特殊なコネクタや接続方法が必要な場合は、セミカスタム・フルカスタムでも対応します。

Q. 標準品で仕様が合わない場合は?

A. 標準品をベースにしたセミカスタムから、防水構造・筐体・回路設計を含むフルカスタムまでご相談いただけます。仕様が固まる前の段階からのご相談も歓迎します。

防水ACアダプターの選定やカスタム開発について、「この環境でIP67で足りるか判断したい」「防水コネクタを含めて相談したい」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。

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